漢方薬について
漢方薬の概要、漢方薬の適応症・お悩み別のおすすめ漢方 などを紹介いたします。
漢方薬は、中医学・東洋医学の主な治療手段のひとつで、複数の生薬(多くは植物由来)を組み合わせて作られています。症状・疾患を引き起こしている失調を是正する中医学の治療に用いられる薬です。
女性のお悩み
生理痛、PMS、更年期障害、不妊、産前産後の不調 など
中医学(漢方)での考え方
中医学(東洋医学)の経典『黄帝内経』には、女性は7の倍数の年齢時に体調変化が生じると記載があります。
7歳で歯が生えそろい、14歳で初潮を迎えます。21歳で背が伸びきり、28歳で身体は最も充実します。35歳で衰えが見え始め、42歳で白髪がめだち、49歳で閉経します。50代では「肝」が、60代では「心」、70代は「脾」、80代は「肺」、90代では「腎」が衰えて全身が虚弱になるとされています。
『黄帝内経』にある女性の体調変化は、加齢に伴う自然な変化で、現代医学での病名が付くものは多くありません。しかし、心身にとっては大きな負担になることがあります。漢方薬を服用することで老いをゆっくりと、ストレスなく受け入れることが出来るようになり、家庭や社会でもイキイキと、能力を発揮して働くことが出来るようになります。
悩みを抱えて無理をしているつらい状態から抜け出し、すべての女性が本来の力を発揮できるよう、漢方薬・中医学(東洋医学)の力で、応援したいと考えています。
生理痛
一般的に月経中(前・後)に月経に伴って起こる、下腹痛、腰痛、頭痛など様々な痛みを生理痛(月経痛)といいます。
中医学では、「気」「血」の巡りが悪かったり、逆に不足していたり、冷えの強い方などに起こりやすいと考えられています。こうした体質を改善する漢方薬を服用することで生理痛が穏やかになって参ります。
おすすめの漢方
- 桂枝茯苓丸 (けいしぶくりょうがん)
生理痛がとても強い、血の塊が多い方
- 柴胡疎肝湯 (さいこそかんとう)
生理前のイライラや胸の張りが顕著な方
- 逍遥散 (しょうようさん)
生理前のイライラや食欲・便通の変化がある方
- 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
生理痛が強く、便秘の方
- 四物湯(しもつとう)
生理後に痛む、貧血気味の方
- 帰脾湯(きひとう)
不眠・貧血を伴う方
- 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
普段から疲れやすい・貧血を伴う方
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
貧血・冷え性・下肢のむくみを伴う方
PMS(月経前症候群)
月経前に3~10日間続く、精神的・身体的症状で、月経開始とともに軽快・消失するものを月経前症候群(PMS)といいます。イライラ・抑うつなど情緒の不安定、不安、集中力の低下、睡眠障害、眠気などの精神神経症状、のぼせ、過食・食欲不振、めまいなどの自律神経症状、その他頭痛、乳房の張り、腰痛、腹痛、腹張、むくみなど非常に多彩な症状が現れます。
中医学では、「気」の巡りが悪くストレスの強い方や、水分代謝が悪く頭や顔がほてりやすい方などに起こりやすいと考えられています。PMSの改善には漢方薬が大変おすすめです。
おすすめの漢方
- 桂枝茯苓丸 (けいしぶくりょうがん)
生理痛がとても強い、血の塊が多い方
- 柴胡疎肝湯 (さいこそかんとう)
生理前のイライラや胸の張りが顕著な方
- 逍遥散 (しょうようさん)
生理前・中に食欲や便通に変化のある方
- 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
生理痛が強く、便秘の方
- 四物湯(しもつとう)
貧血気味でめまいを伴う方
- 帰脾湯(きひとう)
不眠・貧血を伴う方
- 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
普段から疲れやすい・貧血を伴う方
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
貧血・冷え性・下肢のむくみを伴う方
更年期障害
更年期(閉経前後の5年間)に出現する他の病気に伴わない多様な症状を更年期障害と呼びます。代表的な症状には、のぼせ・汗(特に頭顔)・手足の冷えやほてり・息苦しさ・動悸・疲労・めまい・頭痛などの自律神経症状、イライラ・怒りっぽい・憂うつなど情緒の不安定、その他に食欲不振や関節痛・皮膚の乾燥などが現れます。
中医学では、加齢に伴う「腎」の衰えをベースとし、他臓腑や全身陰陽の失調が原因であると考えられていおり、対応する多くの漢方薬がございます。
おすすめの漢方
- 柴胡疎肝湯 (さいこそかんとう)
イライラ・怒りっぽい・憂うつなど情緒の不安定が顕著な方
- 逍遥散 (しょうようさん)
イライラ・憂うつなど情緒の不安定と食欲症状・疲れやすい
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
逍遙散の症状にほてりや出汗を伴う方
- 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
イライラ・憂うつなどに喉のつまりを伴う方
- 釣藤散(ちょうとうさん)
更年期症状でめまいやのぼせを伴う方
- 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
更年期症状に頑固な便秘を伴う方
- 七物降下湯(しちもつこうかとう)
貧血気味でめまいやのぼせを伴う方
- 知柏地黄丸(ちばくじおうがん)
更年期症状で特にホットフラッシュ・発汗が顕著な方
妊活・不妊・不育
漢方薬を妊娠への後押しのために活用します。高度生殖医療を受けられている方には、人工授精・体外受精・顕微授精などの各段階(時期)を考慮し、漢方薬を選択します。高度生殖医療の重点のひとつにホルモン補充がありますが、ホルモンは本来自身の体内で産生されるものであり、外から補充するのは自然なことではありません。自身でもできるだけ必要なホルモンを産生できる、より妊娠しやすい・流産しにくい体作りが必要です。こうした体質改善は漢方薬の得意分野です。もちろん、不妊治療を受けられていない方にも、妊娠のための体質改善は大変おすすめです。
中医学では、特に「気血」の充実や健全な「肝・腎」「任脈・衝脈」の働きが、妊娠と深く関わっていると考えています。月経期・卵胞期・排卵期・黄体期の各期やタイミング前後、採卵・移植の時期に適した漢方薬がございます。
各時期のおすすめ漢方
月経期
すっきり出血させ、新たな周期の準備をする
- 桂枝茯苓丸 (けいしぶくりょうがん)
生理痛が強い、血の塊が多い方
- 逍遥散 (しょうようさん)
生理前・中に食欲や便通に変化のある方
卵胞期
卵胞の形成・子宮内膜の構築を促す
- 四物湯(しもつとう)
貧血気味でめまいを伴う方
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
貧血・冷え性・下肢のむくみを伴う方
排卵期・採卵・タイミング
受精・着床を助ける
- 八味地黄丸(はちみじおうがん)
40歳以上、冷え性の方
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
どなたでも、特に元気・食欲のない方
黄体期・胚移植
着床を助け、流産を防止する
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
どなたでも、特に元気・食欲のない方
- 帰脾湯(きひとう)
どなたでも、特に不眠・内出血しやすい方
28歳以上の方の体質改善
- 海馬補腎丸(かいまほじんがん)
AMHの低い方など
- 六味丸(はちみじおうがん)
冷え性でない方
- 八味地黄丸(はちみじおうがん)
冷え性の方
産前産後の不調
中医学(東洋医学)では、出産時の出血に伴い、産後は気血が大変不足した状態であると考えています。母乳不足・抜け毛・肌荒れ・虫歯・疲労・腰痛などは、いずれも気血の不足が関係してると言われていますので、気や血を補う漢方薬がおすすめです。また、妊娠初期のつわりを和らげたり、産後うつや産後腰痛に適した漢方薬もございます。
おすすめの漢方
- 藿香正気湯 (かっこうしょうきさん)
つわり、食欲がない、全身が重だるい、下痢などに
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
食欲がない、だるい、やる気がでない、めまいに
- 四物湯(しもつとう)
抜け毛、肌荒れ、貧血気味、めまいに
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
貧血・冷え性・下肢のむくみを伴う方
- 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
疲れやすい、貧血、肌荒れ、抜け毛に
- 酸棗仁湯(さんそうにんとう)
寝付きが悪い、眠りが浅い、腰痛に
- 帰脾湯(きひとう)
肥立ちが悪い、不眠・内出血しやすい方
- 葛根湯(かっこんとう)
乳腺炎、産前産後の肩こり・腰痛に
皮膚のお悩み
かゆみ、湿疹、ニキビ、シミ、アトピー など
中医学(漢方)での考え方
中医学(東洋医学)では、体内を構成する「血」「津液(水分)」が充実し、代謝が正常であることが皮膚を健全に保つ基礎であると考えています。
血や津液が不足し、皮膚への潤いや栄養が行き届かなくなると、皮膚は乾燥し肌荒れを起こします。
また、津液の代謝が低下した状態で熱(炎症)が起こると、痒みが強くなりひっかくとジュクジュクと滲出物が出るようになります。
熱(炎症)が血に影響をおよぼすと、皮膚に痒みが生じ、乾燥し発赤するようになると考えられています。
シミや慢性的なアトピーなどは、血の停滞である瘀血(おけつ)が原因であると言われています。
これら皮膚のお悩みに適した漢方薬がございます。お気軽にご相談ください。
おすすめ漢方
痒みがあり、皮膚は紅潮・乾燥しがち
- 消風散 (しょうふうさん)
皮膚がジュクジュクと滲出物が多い、皮膚症状が慢性的
- 竜胆瀉肝湯 (りゅうたんしゃかんとう)
皮膚が乾燥し、痒みが強い
- 当帰飲子 (とうきいんし)
シミに
- 桂枝茯苓丸 (けいしぶくりょうがん)
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
耳鼻のお悩み
耳鳴、めまい、難聴、鼻炎、蓄膿症、花粉症など
中医学(漢方)での考え方
中医学(東洋医学)では、体内を構成する「気」「血」が充実し、代謝が正常であることが耳・鼻を健全に保つ基礎であり、気血の不足や、気の停滞・気逆(気が体上部に充満すること)がると、耳・鼻の症状が生じると考えています。
耳の機能は腎・心・脾などの臓腑と、鼻の機能は肺・脾などの臓腑の状態とリンクしており、これら臓腑の失調に伴いさまざまな耳・鼻の症状が出現すると考えられています。
これらの失調により生じる耳・鼻のお悩みに適した漢方薬がございます。
お気軽にご相談ください。
耳鳴り・難聴
耳鳴りや難聴でお困りの患者さんも漢方相談にはよくいらっしゃいます。すでに耳鼻科や脳外科で検査を受けられている方も多く、中にはメニエル病や脳の血管異常など原因がはっきりしている方います。また、原因のはっきりしない方も少なくありません。原因がはっきりしない耳鳴り・難聴はもちろんですが、原因が分かっていても西洋医学的に有効な治療方法がない場合もあります。漢方治療はそのような場合におすすめしたいと思います。
耳鳴りの症状は様々です。まず、聞こえる音に違いがあります。高音のピーというような音、ボイラー音のようにゴーッという低音、蝉が鳴いているようなジーっという音、ドッドッという拍動性の音など、人によって聞こえ方が違います。また、常に鳴っている人もいれば、就寝時など静かな環境で聞こえる人、疲れているときのみ聞こえる人など、耳鳴りがする状況も人それぞれなのです。聴力低下や耳が塞がっているような症状を伴う方もいらっしゃいます。
中医学(東洋医学)において耳鳴り・難聴の発生機序は基本的に一致しています。
臨床では耳鳴り・難聴は単独で出現することもあります、耳鳴りが治った後に難聴が発生したり、難聴から耳鳴りが始まったりすることもあります。また同時に出現することも多いです
中医学(東洋医学)における耳鳴り・難聴の発生メカニズムは類似しています。
- こちらにより詳しい説明がございます(併設針灸院)
耳鳴り・難聴を発生するいずれの病機も、実証型と虚証型に大まかに分けることができます。
実証型の特徴
- 耳鳴り・難聴が突然発症する
- セミの鳴き声か波のような音が持続する
- 耳を塞いでも軽減しない
- 耳がつまる感じがする
虚証型の特徴
- 耳鳴り・難聴は徐々に発症する
- 耳鳴りの音は小さく低い、断続的である
- 活動後悪化する
- 耳を塞ぐと軽減する
おすすめの漢方
実証型
- 竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
顔が赤く、頭痛を伴う方
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
イライラを伴う方
- 釣藤散(ちょうとうさん)
めまいを伴う方
虚証型
- 滋腎通耳湯(じじんつうじとう)
加齢に伴う耳鳴・難聴に
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
食欲不振で元気がでない方
- 帰脾湯(きひとう)
不眠傾向で疲れやすい方
- 六味丸(ろくみがん)
腰痛や足腰のだるさを伴う方
- 八味地黄丸(はちみじおうがん)
手足の冷え、夜間尿がある方
めまい
様々な耳鳴り・難聴があるように、めまい(目眩、眩暈)も色々なタイプがあります。
ひとつは目の前が暗くなり、一瞬意識が遠のく感覚です。眩(げん)は目の前が暗くなること、暈(うん)は意識がぼんやりすることを指していています。
二つめは「天井がグルグル回る」ような回転性の目まいです。これは非常に激しく嘔吐を伴うこともあります。
三つめはフワフワ感や体が自然と傾いてく感覚になるめまいです。
漢方薬が適しているのは、慢性的にくり返してなかなか治らないめまいです。メニエール病や良性発作性頭位眩暈症(BPPV)などすでに耳鼻科などで診断が付いている方もいらっしゃいますが、西洋医学的に原因不明の方も多いです。
西洋医学は原因が明確になられないと治療方法が決まらないのが弱点です。
このようなケース場合には漢方薬が本領を発揮します。
- こちらにより詳しい説明がございます(併設針灸院)
めまいを発生するメカニズムは、実証型と虚証型に大まかに分けることができます。
実証型の特徴
- 断続的に強いめまいがおこる
- 物を見ると目がグルグル回り、ひっくり返るような感じがする
虚証型の特徴
- 持続的なめまい
- 実証型ほど強くはない
- 活動後悪化する
おすすめの漢方
実証型
- 釣藤散(ちょうとうさん)
強いめまいに
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
イライラを伴う方
- 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
痰が多い傾向の方
虚証型
- 六味丸(ろくみがん)
腰痛や足腰のだるさを伴う方
- 知柏地黄丸(ちばくじおうがん)
顔のほてり・汗が出る方
- 八味地黄丸(はちみじおうがん)
手足の冷え、夜間尿がある方
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
食欲不振で元気がでない方
- 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
疲労・貧血を伴う方
鼻炎・蓄膿症・花粉症
風熱(病原物質の一種)が鼻を犯すと、風熱邪毒は鼻に結し経絡を滞らせ鼻づまり、くしゃみ・鼻水(黄色で薄いことが多い)などを引き起こします。
風熱による鼻の症状には、辛夷清肺湯がおすすめです。
風寒(病原物質の一種)が侵襲すると、寒邪の影響で鼻づまり・透明で薄い鼻水などを引き起こします。
風寒による鼻の症状には小青竜湯がおすすめです。
呼吸や体表部の免疫を管理する肺の働きが低下すると、風邪を引きやすくなり、鼻炎が治りにくく慢性的になります。
このような方には玉屏風散がおすすめです。
蓄膿症で、鼻づまり・嗅覚減退があり、ドロドロの黄色く臭いのする鼻水が出る方には、竜胆瀉肝湯や辛夷清肺湯が、質が濃く透明の鼻水が出る方には、藿香正気散がおすすめです。
おすすめの漢方
鼻炎・花粉症
- 玉屏風散(ぎょくへいふうさん)
風邪をひきやすい・透明の鼻水・咳やくしゃみ
- 小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
透明の鼻水が出る方
- 辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)
黄色の鼻水が出る方
蓄膿症
- 竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
イライラ・憂うつなどに喉のつまりを伴う方
- 藿香正気湯 (かっこうしょうきさん)
質が濃く透明の鼻水 が出る方
自律神経の不調
疲れやすい、不安感、イライラ、不眠、動悸など
中医学(漢方)での考え方
不規則な生活や過度のストレスなどにより、交感神経と副交感神経からなる自律神経のバランスが崩れ、さまざまな不快症状が現れます。
良く見られる症状には疲れやすい、不安感、イライラ、不眠、動悸などがあります。
病院での検査で器質的な異常が認められなければ「自律神経失調症」と診断されることが多いです。
中医学(東洋医学)では、体を構成する3つの物質「気」「血」「津液(水)」の過不足や循環・代謝の乱れによって生じると考えられています。
漢方薬は自律神経失調のように、器質的な変化のない、多様な症状を呈する病態に大変適しています。
おすすめ漢方
疲れやすい方に
- 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
不安感に
- 帰脾湯(きひとう)
イライラが強い
- 柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
不眠に
- 酸棗仁湯(さんそうにんとう)
動悸に
- 帰脾湯(きひとう)
不眠傾向で疲れやすい方
- 逍遙散(しょうようさん)
イライラを伴う方
ダイエットのお悩み
便秘、脂肪過多、むくみなど
中医学(漢方)での考え方
中医学(東洋医学)の理論では、肥満の解消には全身の「津液(水)」代謝を改善し、食べ物を十分に消化して良好な便通を保つことが肝要であると考えています。
肥満の原因となる津液代謝の異常や便秘の解消に役立つ数多くの漢方薬がございます。
体質に合った漢方薬を選択しないとなかなか効果は現れません。
お気軽に体質相談をご利用ください。
脂肪過多(肥満)・むくみ
中医学(東洋医学)では、肥満の正体を「津液(水)」の代謝異常だと考えています。津液は、体を構成する正常な水分の総称で、常に体内をくまなく循環し、古くなった津液は排泄されています。津液の生成や代謝は、複数の臓腑の機能が関わっています。脾は食べ物から津液を生成し、津液を全身に循環させる原動力の役割(運化)も果たしています。この運化の働きが低下すると、津液の流動性は低下して濃縮され、体には害となる物質「痰湿」に変化します。また、肺は全身の津液代謝をスムーズにする働きを有し、腎は余剰な津液を尿に転化する作用を持ちます。これら肺や腎の機能が失調しても、痰湿は発生します。痰湿が皮下に停滞すると「むくみ」になり、むくみが長期化すると皮下の痰湿が少しずつ脂肪に置き換わり肥満を形成すると考えられています。痰湿を除去し脂肪を減らしたり、津液の代謝に関わる「脾・肺・腎」の機能を不活化させ痰湿の生成を防ぐのに適した漢方薬がございます。
おすすめの漢方
- 六君子湯(りっくんしとう)
疲れやすく、だるくて横になりたくなる、腹部の膨満感、体が重く感じる方
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
イライラして食べ過ぎてしまう、生理不順や不眠を伴う方
- 八味地黄丸(はちみじおうがん)
腰痛や手足の冷えがあり、夜間の頻尿、不妊症を伴う方
- 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
顔色・唇や皮膚が黒っぽく、生理不順・便秘を伴う方
便秘
食べ物は胃腸で消化され栄養分を吸収されます。残ったカスを「糟粕」と呼び、糟粕は大腸に送られ糞便となり排泄されます。大腸の気が停滞し糟粕の動きが悪くなったり、腸の炎症で糟粕が乾きすぎ便が固くなりすぎてしまったり、糞便を排泄する力不足など、さまざまな原因で糟粕が大腸に留まると便秘になると考えられています。
おすすめの漢方
- 麻子仁丸(ましにんがん)
便がコロコロで硬い、または少量づつしか出ずスッキリしない方
- 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
ひどい便秘で何日もお通じのない方
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
排便に力が入らない、排便後の疲労感を伴う方
- 八味地黄丸(はちみじおうがん)
高齢者の便秘、夜間尿を伴う方
生活習慣病
肥満、便秘、痔、高血圧、高脂血症など
中医学(漢方)での考え方
食事や運動・喫煙・飲酒・ストレスなどの生活習慣が深く関与し、発症の原因となる疾患の総称です。
以前は「成人病」と呼ばれていましたが、成人であっても生活習慣の改善により予防可能で、成人でなくても発症可能性があることから、1996年に当時の厚生省が「生活習慣病」と改称することを提唱しました。
中医学(東洋医学)は、生活習慣により形成された体質の乱れから生じるさまざまな症状・疾患の解消を得意としています。
中医学(東洋医学)における肥満や便秘の考え方は「ダイエットのお悩み」で紹介しましたが、高脂血症の考え方は基本的に肥満と同様です。
痔には外痔核・内痔核・痔瘻などがありますが中医学(東洋医学)ではいずれも下半身での血の停滞(瘀血)や気の持つ様々な組織を上へ引き上げる作用の低下(昇提不足)が原因と考えています。
中医学(東洋医学)では、体内には体温など体を温める要素「陽」と水分など体を冷やす要素「陰」が備わっており、生活習慣などによりこれらのバランスが崩れ、「陽」が強くなりすぎることで血圧が上がってしまうと認識しています。
生活習慣病を改善するには、もちろん問題となる生活習慣を改めることが前提になりますが、漢方薬による体質改善が大きな助けになりますし、症状の緩和にも大変役立ちます。
おすすめ漢方
肥満
(詳細は「ダイエットのお悩み」を参照ください)
- 六君子湯(りっくんしとう)
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
- 八味地黄丸(はちみじおうがん)
- 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
便秘
(詳細は「ダイエットのお悩み」を参照ください)
- 麻子仁丸(ましにんがん)
- 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
- 八味地黄丸(はちみじおうがん)
痔
- 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
便が硬い、肛門がヒリヒリする、痛み、出血、赤ら顔の方
- 竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
下痢または便秘、肛門が下に引かれる感覚、腫れて痛む、尿が濃く黄色の方
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
下痢または排便困難、排便後疲れる、倦怠感、食欲不振を伴う方
高血圧
- 竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
めまい、頭が張るように痛む、イライラすると血圧が上がる方
- 釣藤散(ちょうとうさん)
手足の冷え、めまい、耳鳴り、腰のだるさを伴う方
高脂血症
- 大柴胡湯(だいさいことう)
慢性病
リウマチ、関節痛、免疫力低下、脳血管障害後遺症、眼精疲労、糖尿病など
中医学(漢方)での考え方
現代医学の治療を長年受けているけれど、なかなか良くならない、少しずつ悪化している、効果があまり感じられなくなってきた。
慢性病・慢性症状でお悩みの方は大勢いらっしゃいます。
慢性化をしていますし、中には器質的な変化を伴う病態の方もいらっしゃいますので、根本的な治癒は困難かもしれませんが、漢方薬はお悩みの症状を和らげ、少しずつ回復させる可能性を秘めています。
現代医学とは違った切り口からお悩みの症状を改善する漢方薬をぜひお試しください。
おすすめ漢方
リウマチ
- 薏苡仁湯(よくいにんとう)
関節痛
- 独活寄生丸(どっかつきせいがん)
免疫力低下
- 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
脳血管障害後遺症
- 補陽還五湯(ほようかんごとう)
眼精疲労
- 杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
糖尿病
- 大柴胡湯(だいさいことう)
食欲が旺盛で、体重が減少傾向の方
- 六味丸(ろくみがん)
慢性的な糖尿病でむくみが強い方
- 八味地黄丸(はちみじおうがん)
慢性的な糖尿病で手足が冷える方
- 知柏地黄丸(ちばくじおうがん)
慢性的な糖尿病でのぼせ・ほてりが強い方
- 杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
慢性的な糖尿病で目の症状を伴う方